アレックスのベルエア邸訪問後のお話。(『Meant to be』『Just be yourself』参照)

登場人物

V:ヴァレリー

C:サイラス

Z:ゾーイ

F:フランカ


ベルエア邸 リビング

V:はぁ~…レクシーったら、もうちょっといてくれても良かったのに。ピップなんて、ボーイフレンドが帰ったらさっさとお部屋に戻っちゃったし。

C:とても良い青年でしたね。

Z:ホント!今どきあんな子いる?うちのタイタスもあんなふうに育ってくれればね~。

C:彼なら、きっとこのまままっすぐ育ってくれますよ。

V:そうよ、タイは私にとっても息子みたいな存在だけど、とっても良い子に育ってるじゃない。

Z:それが、思春期真っ盛りでナマイキばっかり言ってんのよ。最近は同じクラスの子が好きらしいんだけど…――あ、その子マヤって言うんだけどね、マヤの母親のカレンから聞いたら、マヤもタイタスのことが好きらしいの。

V:それで!?

Z:でも2人とも素直じゃないから、顔合わせるたびにいがみあってて…、もう見ててじれったいったら。だからカレンと笑っちゃって。

C:微笑ましいじゃないですか。ちょうどそんな年頃ですからね。

F:チャオ!なになに、なんか面白い話してる?

V:あら、おかえりなさいフラン!ドライブしてたの?

F:そ、彼氏(=愛車)とデート。今日は気分転換にいつもの海岸沿いじゃなく天文台のほうまで行って町を眺めてたんだ。

V:まぁ、ステキ!

C:気持ちよさそうですね。

Z:フランキーにはどこでも連れてってくれる最高の彼氏がいてうらやましいわ。サイラスだってノアやワンちゃんたちとラブラブだしさー。

C:そんな…。やめてください、ゾーイ。

F:照れんなってサイラス、事実だろ?ゾーイも作ればいいじゃん、彼氏。ダンナとはさっぱり別れたんだからさ。あ、うちの彼氏は貸せないけど。

Z:ムリムリ!今はタイタスだけで手いっぱいで余裕ありませーん。

V:ゾーイは本当に凄いわ。仕事も子育ても一生懸命に体当たりで頑張ってるもの。私は仕事で手いっぱいで、なかなかあの子たちと会えなかったから…、今でもそれが悔やまれて。

Z:やめてよヴァレリー、私こそ逆立ちしたってあなたのようにはいかないってば!

F:そうそう。3人とも元気に丈夫に育って、それぞれ仕事もしてるんだし、今はフィリップと暮らせてる。それだけでOKでしょ!

C:そうですよ、ヴァレリー。今日は素敵な出会いもあったじゃないですか。フィリップがフランカには話していいと言ってましたし、今教えてあげては。

V:やだ、そうだわフラン、レクシーよ!

F:それ誰?新しいスタッフ?

V:ピップのボーイフレンドなの。今日ここに連れて来てくれたのよ。残念ねぇ…もう少し早ければ会えたのに。

F:ハアァ!?あいつカレシがいんの!?

Z:ここだけの秘密よ。それもルックス良し、中身も良しの超好物件なラティーノくん。フィリップと同じでモデルなんだってさ。

C:本名はアレハンドロ・シルバラードといって、フィリップはアレックスと呼んでいました。ヴァレリーの仰っていた通り、フィリップは見る目がありますよ。

F:マジかぁ~…会いたかったなー。あのガキ、いつの間にそんないい男捕まえてたんだ?つか、なんで『レクシー』?

V:アレックス+セクシー=レクシー♡私がつけたの♪

F:ああ…、なるほど。

C:サウス在住だと言っていましたから、もうそろそろ家に着く頃でしょう。

F:ちょっとまった、サウス?どこらへん?

C:たしかサファリだと言っていました。どうかしたんですか?

F:サファリか…!いや、何日か前、どしゃ降りの日があっただろ?で、めずらしくフィリップから連絡入ってさ。「サウスにいるから迎えに来てくれ」って…。なんでも、LOAD(=配車サービス)のお気に入りのドライバーがみんな埋まってたらしくて。ちょうどあたしもヒマだったから彼氏と行ったわけよ。

V:あら…、それで?

F:送られてきたアドレスが、なんと…そのサファリの港寄りのアパートの前でさ。あいつ、同じサウスでもサザン・ベイのほうには友だちのカップルがいるじゃん…なんて名前だっけ。

C:カイとトレイシーですね。

Z:あの子たちもいい子よね。

F:そう。だけどあの2人がここに遊びに来ることはあっても、フィリップが行くことってあんまないっしょ?ここなら大画面であいつらの好きなゲームができるからさ。それが、この間はサファリなんてあいつのめったに行かないところに呼び出されたから、びっくりして…。「雨すげーから友だちの家に避難した」とだけ言ってたから、あいつの交友関係だし、それ以上は聞かなかったんだよ。

Z:それってもしかして…もしかしなくても…。

C:おそらく…アレックスの部屋でしょうね。

V:

F:だよな、やっぱり。

Z:また来てくれないかな~、アレックス。彼ったら、私の料理をすっごく褒めてくれるんだもん。それに、母親がメキシコ料理のインストラクターをしてるって言ってたから、彼女ともいつか会ってみたい。

V:そうね、私もレクシーのご家族にご挨拶したいわ。いつかここにご招待して皆でお食事するのはどうかしら。

C:良いですね。

Z:賛成。腕によりをかけてごちそう作っちゃう!

F:あたしも賛成~!ごちそう最高っ!

END

(210511)