一緒に飲みに行ったロレンソとロクサーヌのお話。

登場人物

ロクサーヌ

ロレンソ

メリンダ


ナイトクラブ

R:ハァッ!?薬盛られてって…、それ犯罪じゃん!!許せない!!

L:ろっ、ロクサーヌ、人に聞かれるって…!

R:大丈夫、こんなにガンガンうるさいんだから、誰にも聞かれやしないって。

L:そうかな…。俺、こういう場所に来たことないから…。

R:こっちこそごめんね。あたしはここ常連だからいいけど…、もっと静かなところに行けばよかった。今からでも移動する?

L:いいんだ。未知の世界だから新鮮だし、結構楽しい。

R:じゃあ良かった!それより…、さっきからあまりお酒進んでないけど…飲まないの?

L:その…、俺、下戸なんだ…。たまには良いかなと思って、頼んでみたけど…。

R:そっかぁ~…。じゃあさ、今度はノンアル充実してるお店に行こうよ。レインボー・スクエアにいっぱいあるの。もっと静かでゆっくりできるし。

L:ああ、いいね。

R:で、さっきの話の続きだけどさ、友達の彼女に襲われたときって、友達の家だったんでしょ?バレなかったわけ?

L:彼は泥酔して眠っていたからね…。俺も、薬で朦朧としてたし…、気づかれなかったと信じたい。

R:ま、バレてたらもう友達やってられないよね。

L:いや、正確には…もう友達とは言えないんだ。そのことがあってからは、俺から徐々に距離を置いて、今では疎遠になったから。たとえ俺自身の意思でしたことではなくても、友達の彼女と、その…関係を持ったのは事実だし、ずっと後ろめたくて…。

R:…そうだよね…。かといって、訴えるわけにもいかないし…。

L:ああ…。そもそも、俺に隙があったのが悪かったんだ。

R:ハ!?そんなことないでしょ、だって友達の彼女だよ?こっちに好意を持ってたとしても、薬盛ってまで襲ってくるとか思わないじゃん!

L:…でも、起こってしまったことは覆せないから。

R:そりゃそうだけどさぁ~…もう…、ほんっとムカつく…!!(ロレンソって奥手そうだし、てっきり童貞かと決めつけてたけど…、そんなことされてたんだ…。トラウマになるじゃん。酷すぎる。その女が目の前にいたら殴ってやるのに)

L:……ごめん、ロクサーヌ。せっかく誘ってくれたのに、こんなこと聞かせて…。

R:いいのいいの、元はといえば、あたしが下ネタ振ったせいだしさぁ……アハハ。

L:……。

R:…ねえ、ロレンソ…、

R:やだ、ただのジョークだから!気にしないで!

L:じょ、ジョーク…?(でも、それってまさか…)

R:(何言ってんの、あたし…!?ロレンソ、ビックリしちゃってるじゃん!!)

L:…そうだ、アレックスから聞いたんだけど、君のSNSに俺の写真が載ってるらしいって…。

R:エッ!?あ~っ、あれね…!…ごめんなさい…嫌だったでしょ、勝手に載せたりして…。

L:いや、それは別に構わないんだ。…それより、君は弟とフィリップのアカウントを知ってる?

R:もちろん。

L:実は先日、2人が家に来て食事をしたとき、アカウントをフォローしてくれって言われてたのに、すっかり忘れてたからさ。

R:ぜひしてあげて!『Lovefolio』のアカウントで、2人とも全部小文字でファーストネームとファミリーネームの間にアンダーバーが入ってるから、すぐ分かるはず。

L:ありがとう。それじゃあ、まずアカウントを作らないとな。

R:まだ持ってなかったの?今作っちゃえば?

L:あ、ああ。えーっと、これか。アカウント新規作成…っと。

R:そうそう、…で、アカウント名は後で変えられるし、テキトーで大丈夫。

L:分かりやすいから、弟たちみたいに名前にするよ。…よし、できたみたいだ。

R:はーい、じゃあ、あたしがフォロワー1番乗り~!あたしのアカウントもフォローバックして♡

L:フォローバック?

R:そ。このボタン押すの。

L:ああ、これか。

R:やった!これで、ロレンソのフォロー1番乗りもあたしがゲット♡

L:

R:それにしても、フィリップのやつ、あたしに内緒でまたメリンダのお料理食べてたわけ?ズルい。あのチョコフランめっちゃくちゃ美味しくて忘れられないわ。

L:…またいつでも遊びにおいでよ。母さんも喜ぶ。

R:ホントに!?嬉しい~!お料理もだけど、メリンダのことも大好きなの。

L:…ありがとう。

R:何が?

L:俺が…、君にあんなことを言ったのに…、色々と良くしてくれて。

R:ちょっとぉ~、そんなこともう気にしてないって!そんなことよりさ、ホラー映画の『死者の屋敷』シリーズ知ってる?

L:もちろん。ファンだよ。

R:じゃあ、最新作観た?

L:最新作!?9年前に4作目が出たきりじゃないのか?

R:やだ、ロレンソ、知らなかったの!?こないだから上映してるじゃん!も~、お堅いニュースばっかりチェックしてるんでしょ。ちゃんとエンタメ情報もアップデートしてよ。

L:ご、ごめん。それって、リメイクとかじゃなくて?

R:ううん、ちゃんと同じ監督とキャストで最新作なの。2作目の主人公の妹いたでしょ、今度はあの子が主人公。

L:えぇっ!?あの事件で唯一の生き残りの子じゃないか。

R:そうそう!じゃあ今度一緒に観に行こ!ね?

L:いいけど…、君はもう観たんじゃないのか?

R:あたしもあのシリーズ好きだから、早く観に行きたかったんだけどさ…、ロレンソが好きそうな映画だから、一緒に観たくて我慢してたの。

L:…!!

R:そ、それじゃ、後で空いてる日教えて。あと、好きな食べ物も。あなたの好きそうなメニューがあるお店を選びたいから。

L:あ、ああ…。ありがとう、ロクサーヌ。

シルバラード邸 玄関

M:おかえりなさい、ロレンソ。こんな遅くまで学校にいたの?

L:いや…、……と、友達と飲んでただけだよ。

M:お友達と?珍しいわねぇ。でも、ロレンソ…、あなた、下戸じゃないの。

L:俺はほとんど飲んでないよ。ただ、その…話をしてただけで。(慣れない酒を飲んだせいか…、あんなことまで話してしまった…。ロクサーヌは彼女のしたことに対して怒ってたけど、こんな情けない俺のことを実際はどう思っただろう…)

M:そう…。明日も早いの?

L:いや、明日は午前中が休講だから、午後からゆっくり出る。じゃあ、シャワーを浴びてもう寝るから。おやすみ、母さん。

M:おやすみなさい。


M:…あら?ロクサーヌからメッセージだわ。

R:”こんばんは!こんな時間にごめんなさい、メリンダ。実は今日、ロレンソを誘ってクラブで飲んでたの。それで、彼と話してたんだけど、またそっちに遊びに行ってもいいかな?あなたにもまた会いたいから。それじゃあ、おやすみなさい”

M:あらぁ~!あらあらあら~!!♡まあまあ…友達だなんて…、そういうことだったのね、ロレンソったら…。もちろんいつでも遊びに来てほしいわ、ロクサーヌ!

END

(220110)

※アレックスを通じてメリンダとロクサーヌもアドレス交換済