フィリップがトレイシーやカイと知り合うお話。
登場人物
P:フィリップ
T:トレイシー
K:カイ
撮影現場 楽屋
P:(くそっ、あともうちょいで勝てたのに…!)
T:ねぇ、フィリップ・ベルエアだよね?私、今日いっしょに撮影するトレイシー・デ・パルマ。はじめまして。
P:ああ…、はじめまして…。
T:あのさ、私とフレンドにならない?
P:……は?友達?
T:そのゲーム。あたしもプレイしてるの。
P:あ、ああ、これ?
T:じゃあ、フレンド申請するから承認して。
P:え!?お、おう…(いきなりなんなんだよこいつ…。つか、女の子と対面でゲームすんのなんて初めてかも…)
T:はい、私の3連勝~♪
P:くっそ……(こいつ強すぎだろ!!)
T:あんた…思ったより弱いわね。
P:ま、まだたったの3回だろーが!
T:何度やっても同じだと思うけどー?あ、それよりそろそろ撮影準備始まるよ。ゲームどころじゃないって。撮影終わったらまたやればいいじゃん。
P:…次はぜってー負かす。
T:ほほほ、いつでもかかってきなさい。ところでさ、『TRAILDUST(トレイルダスト)』はプレイしてる?
P:ああー…、あれなら、最近はだいたい西の兵団駐屯地や水晶洞の近くで狩ってるかな。
T:OK、あのあたりね。じゃあちょうどいいわ。後でチャットしながら協力プレイしない?欲しいアイテムがあるんだ。
P:ああ、いいぜ。分かった。
T:決まりね!あ、それともう一つ。
P:ん?
T:私、モデルやってる彼氏いるの。誘ってきても無駄だから。
P:…ハァア!?んなことしねーよッ!!
T:ゲーム中に誘ってきた男が今まで何人かいたからさ。あんたはそういうタイプじゃないと思うけど、念のため。じゃ、また後でね。
P:……。(マジで何なんだあいつ…。でも、今までオレに近寄ってきた女の子たちと全然違うし、いっしょにいても緊張しねぇ…。ただ…彼氏持ちか……。いやいやいや、あいつはそういうのとは違う。もっとザックみてぇな男友達っぽいっつーか……)
ベルエア邸玄関ホール 3ヶ月後
K:やぁ、フィリップ!はじめまして!俺はカイ・オブライエン。よろしくね。
P:ああ、よろしく…。(で、でけぇな…。こいつがトレイシーの彼氏か…)
T:ごめんね、フィリップ。こいつが、どうしてもついてくるって聞かないから。
K:だって…、薄暗い部屋で2人でプレイするんでしょ?俺すごく心配だもん…。
T:なによその言い方!ただゲームするだけだっつの!
P:安心しろよ、カイ。オレらはただのダチだから。でもまぁ、ふつうは彼女が他の男の家で2人きりなんてムリだよな。オレもあんまり考えずに誘ったりして悪かった。
K:う、ううん。2人がゲーム友達で仲良しなのは俺もよく知ってるよ。
T:フィリップといっしょにいたところで、1ミリも心動かないから安心して。もし何かされてもタマ蹴りあげてやるし。
K:ホント!?よかった~!
P:よくねぇわ。
T:にしても、豪邸の大画面でプレイし放題なんて最高~!招待してくれてありがとね。
P:いいよ。最近はソロプレイばっかだったから、オレも楽しみだし。スクリーニングルームの入口横にスナックコーナーもあるから、そこにあるものは何でも飲み食いしていいぞ。ピザもある。
K:えぇ!?いいの!?
P:もちろん。
T:すごっ…何から何まで至れり尽くせりじゃん…さすがセレブ。
P:じゃあ、行くか。
スクリーニングルーム
P:カイはやらねーの?
K:うん。俺は2人の応援とピザ食べる係。
P:ははっ、なんだよそれ!
T:こいつ、あんたの比じゃないほど雑魚なの。
P:そうなのか?
K:ゲームができなくてもいいんだ、俺は。こうして横からトレイシーを応援してるだけで幸せだから。
T:何よ…それ。ていうか、そんなに難しくないでしょ、ゲームなんて。
K:だって、コントローラーって何個もボタンがついてるだろ?あれを同時にいくつも押して操作するの難しくない?今どれ押してるのか分からなくて、頭が混乱しちゃうし。画面にもいろんなものが表示されてて、どこを見たらいいのか…。
P:言われてみれば、たしかにな。オレらはほぼ無意識にやってるけど。
T:ドライブは好きなくせに不思議よね。情報量の多さでは車の運転とそんなに変わらないじゃん。
P:ドライブ好きなのか。
K:うん、あとそれからヒーローコミックの実写映画も好きだよ!
P:マジかよ、今度いっしょに『ナイト・ハウラーズ』の最新作観に行こうぜ。
K:うん、行こう!俺、あのシリーズ大好き!
T:私はアレ系の映画詳しくないし、話が通じる相手ができてよかったわね、カイ。
K:トレイシーはロマンチックな映画が好きだもんね。
P:へー、意外だな。
K:ヒロインに感情移入してぽろぽろ泣きながら観てるんだよ。それがもうすっごく可愛くて…。
T:余計なこと言うな!!
P:そういえば、おまえらって付き合ってどのくらい?
K:うーん、半年くらい?
T:…5ヶ月よ。
P:きっかけは?
K:俺の一目惚れ!初めての仕事でいっしょになったのがトレイシーだったんだ。こんなに可愛い子初めて見たよ。ビビビ~~ッ!って体中シビれてさ。
T:こいつ…ほんっとしつこくて。
P:で、ほだされたのか。
K:宇宙一のガールフレンドがいて、俺すっごく幸せだよ♡
T:ハァ!?ちょ、くっつくかないでよバカ、ミスるってば!
P:人んちでいちゃつくなよ、おまえら…(でも、こういうの羨ましいな…。オレもいつかは……)
T:よぉーっし!これで私の5連勝♪
P:あ゛!?あ゛あああぁーーーッ!
END
(230105)