フィリップがアレックスに友人を紹介するお話。

登場人物

P:フィリップ

A:アレックス

T:トレイシー

K:カイ


フィリップとアレックスの部屋 リビング

P:よっしゃ、これでオレの荷物はだいたい運び入れたから終わり。重いものもほとんど無いしな。家電は備え付けだし。

T:あんたは服と靴が大半だもんねー。2人で使う食器類や日用品はどうすんの?

P:それはアレックスが今使ってるやつを持ってくるってさ。あとはだんだんテキトーに揃えるつもり。カイ、車サンキューな。

K:どーいたしまして!

T:にしても、なかなか良い部屋じゃん。立地もアクセスも良いし。広さもちょうどいい。

P:だろ?アレックスが探して見つけてくれたんだ。ペットも飼えるんだぜ。

K:いいなあ。俺らのとこはペットだめなんだよね。犬飼いたいなあ。

T:犬より手がかかる男がいるんだから、これ以上の面倒は要りません。

P:だろうな。

K:ワン!

T:お黙り、バカ犬。それより、早くアレックスのとこ行かないと。

K:そうだ。俺、アレックスの荷物も運ぶんだった。

P:悪いけど頼むな、カイ。さっきメッセージ来てたけど、もうほとんど荷物はまとめたってさ。

K:いいんだよ、フィリップ。だって俺、アレックスに会うの初めてだから超ワクワクしてるんだもん!

T:そっか、私はこないだ一緒に撮影したけど、あんたは初対面だっけ。

P:そうだったな。

K:トレイシー、アレックスってどんな感じ?

T:えー?ふつうに良いやつだったよ。仕事にはマジメだし。これから会うんだし、自分の目で確かめなよ。

K:でも気になるじゃん。それから他には?

T:ん~、あとは…なんだか分からないけど、すごく自然な良い匂いがしたんだよね…。あれはみんながクラクラするのも分かるわ。あのルックスであれはヤバい。我らがフィリップ・ベルエアを陥落させたのも納得。

P:………。

K:ちょっ、トレイシーってば、アレックスのこと好きになっちゃだめだよ!?

T:ハァァ!?

K:アレックスがどんなにイケメンでも、トレイシーは渡さないからね。

T:なっ、なに言って…、バカじゃないの!?そんな話してないでしょ!

K:だってうっとりした顔してた~。

T:してない!!

P:…あのさ……いちゃついてるとこ本当に悪いけど、そろそろ車出してくれるか。

T:そ、そうだ、カイ、さっさと駐車場行って!

K:ごめん、アレックス待たせてたんだった!

アレックスの部屋

P:アルー、来たぞ。

A:フィリップ…!待ってたよ、おはよう!

P:おう、おはよー。

A:…あれ?そのシャツ初めて見たけど、とても似合ってるね。君は会うたびに素敵になる。

P:おまっ、離れろバカ!他のやつらもいるんだから!

K:(…今、キスしたよね?)

T:(いきなりとんでもないものを目撃してしまった)

A:ああ、そうだった!はじめまして、カイ。今日は車まで出してくれて本当にありがとう。それからトレイシー、この前の撮影すごく楽しかったね。また会えて嬉しいよ!

K:……アッ、ハイ、えっと、こんにちは!

P:なんなんだよ、その挨拶は。

T:(カイが圧倒されてる…面白くて泣きそう)私もこないだは楽しかったよ、ありがとねアレックス。こんな形で再会するとは思わなかったけど。

A:僕も、君たちがフィリップの友達だったなんて驚いた。それに、2人で作業するのはちょっと大変だから人手があると助かるよ。

T:いいのいいの、どうせヒマだし。

K:それに、トレイシーも俺も、2人がいっしょにいるところを早く見たかったしね。

P:

A:あはは、そういうことか。

T:そうそう。こんなビッグカップルが近くで誕生してたなんてマジで驚いたわ。

K:あとで一緒に写真撮ろうよ!

A:うん。

P:…おい、さっさと荷物積んじまおうぜ。

A:そうだね。じゃあカイ、これを車まで運ぶの手伝ってくれる?

K:OK。


T:フィリップ、そっちの箱を玄関のほうに移動させておいて。私はここを掃除するから。

P:お、おう、わかった。

T:ああーッ!!ちょっと待ってフィリップ!それ割れ物って書いてあるじゃん!上に重いもの重ねちゃダメでしょ。こっちが先。

P:あ、そっか…ごめん。

T:ったくもう、あんた引っ越しどころか自分の荷物まとめたこともないでしょ。

P:…寄宿学校に入るときと出るときは、ママのスタッフがやってくれてたから。荷解きは自分でやってたけど。

T:だろうと思った。それにこのほっそい腕じゃねー。

P:ちょっ、つまむな!

T:だからカイのやつを連れてったんでしょ、アレックスも。あいつなら背格好もアレックスと同じくらいだから、一緒に荷物運ぶのは楽だし。そ・れ・にぃ~~大事なあんたに重いものなんて運ばせたくないだろうしね。

P:…!

T:ああ、カイはいいの。あいつは力があるから、どんどんこき使ってくれれば。

P:…ありがとな。

T:いいんだって。友達じゃん。それに、あんたが同棲なんて聞いて心配だったけど、相手がアレックスならなにも心配いらないって分かったし。

P:あいつ、しっかりしてるしな。

T:それもそうだけどさ、あんたがどれだけ愛されてるか分かったから。

P:!!

T:だからもう心配してない。ほら、ボーっとしてないで、それあっちに運んで。

P:は、はい。

アレックスのアパート 駐車場

A:うん、荷台がこの大きさなら1回で全部運べるかも。ありがとう、カイ。

K:気にしないで。これ父さんのピックアップなんだけど、最近はほとんど乗らないからさ。すんなり貸してくれたんだ。

A:カイは、トレイシーと同棲してるんだろ?もうどのくらい?

K:ちょうど半年になるよ。

A:半年かあ。なにか苦労ってある?

K:いや、特には無いかなあ…。とにかくトレイシーがしっかりしてるから。

A:そうか。彼女とは撮影でいっしょになったけど、すごく良い子だったから、カイが好きになるのも分かるよ。

K:そっ、そう!?…トレイシーに言うと、いつもまともに取り合ってくれないけど、彼女は俺のすべてなんだ。彼女には、頼りない男かもしれないけど…。

A:トレイシーは君が彼氏で幸せだと思うよ。

K:!!…だといいなあ…。俺さ、よくトレイシーに「鈍い」って言われるんだけど、君がフィリップのこと大好きなのは一目で分かったよ。

A:

K:君との出会いは、こないだフィリップと遊んだ時に説明してもらったしね。

A:そうだったのか…。

K:うん。トレイシーが細かいところまでツッコミまくって聞いたら、恥ずかしがって全部は話してくれなかったけど。

A:目に浮かぶね。

K:フィリップは、俺がこの仕事を始めてまだ何も分からなかったときにできた最初の友達なんだ。だから、俺にとっても特別。

A:…分かるよ。僕にもそういう友達がいる。

K:まったく心配ないと思うけど、フィリップを傷つけないように気をつけて。トレイシーが、たとえ真夜中だって君を殴りに飛んで行くから。

A:それは怖いな。

K:トレイシーもフィリップのことが大好きだからね。君が彼氏で安心してると思う。

A:じゃあ僕は、君たちから見たらフィリップの彼氏として合格?

K:もちろん。おめでとう、アレックス。

A:ははっ、やったー!

END

(200609)