フィリップが道端で捨て猫を見つけるお話。

登場人物

フィリップ

アレックス


AC市内のある公園

P:ん?なんだ?(猫の鳴き声?まさか、この袋の中からか…!?)…クソッ…どこのクズだ…!こんなひでーことしやがって!

よーしよし、もう大丈夫だぞ。おおっ、おまえも赤毛じゃん!オレとおそろいだな。ケガしてねえ?

(しかしどうすっかなこいつ…。俺らのアパートはいちおうペット飼えるけど、アレックスは猫ってどうなんだろ…。実家はママが猫アレルギーで飼えねーし、とりあえず保護施設に預けて、友達に当たってみるか…)

フィリップとアレックスの部屋 5日後

P:(友達全部当たったけど全滅…。保護施設の人も、「不妊手術と予防接種は受けさせるけど、もう成長しきった猫だから、子猫と違って貰い手は少ないかも」って言ってたし…。あいつ、このままだったらどうなるんだ?
まさか…動物園でライオンの餌になったりしねえよな……。やっぱりオレが引き取るしか…)

A:フィリップ、どうしたの?なにか悩み事?

P:アレックス…あのさ、もしオレらに家族が増えるとしたら、お前どう思う?

A:家族?

P:人間じゃなくて…動物の。

A:ああ…、犬や猫のような?

P:そう。実は先週、野良猫を拾って、一旦保護施設に預けてたんだけど、ずっと気になっててさ……。引き取り手も探したけどいないんだ。

A:僕の友達にも当たってみようか?

P:あ、ああ、それもそうだな。聞いてみてもらえるか?

A:もちろん。

フィリップとアレックスの部屋 3日後

A:フィリップ、例の猫の件なんだけど…ごめん、僕の友達もみんなダメだって。

P:そっか……。

A:……。僕、君のそういうところが大好きだよ。

P:はぁ?なんだよ突然!

A:お祝いの準備しよっか。

P:さっきから何の話をしてんだよ、おまえは!?

A:僕らの家族が増えるお祝い。

P:えっ、じゃあ…。

A:その保護施設ってどこ?ここから近い?まだその子の里親が見つかってないことを祈ろう。

P:それは大丈夫だと思う。今朝もサイト見たけど、まだ載ってたから。

A:でも、今まさに引き取る手続き中かも…。

P:くそっ、支度しろ!さっさと行くぞ!

A:で、その子どんな感じ?トラ猫?黒猫?

P:オレみたいな赤毛のオス。すっげーかわいいぜ。年齢はちょっと分かんねぇな…どのくらいなんだろ。もう大人の猫だよ。

A:ということは、これからは赤毛の天使2人と暮らせることになるのか。

P:おまえが悪魔だから、ちょうど釣り合いが取れるな。

A:僕のどこが悪魔?

P:どこって…何もかもだよ!

フィリップとアレックスの部屋 2日後

P:オレらが里親になるための保証人、サイラスに頼んで正解だったな。

A:彼だったらペットも飼っているし、身元もしっかりしていて間違いないもんね。あとであらためてお礼を言いに行こう。

P:ああ。

A:さあ、ここが君の新しいお家だよ!

P:しーっ、あんまデカい声出すなよ、アル!初めての場所なんだぜ、きっと緊張して怖がってるって!

A:そ、そっか、ごめんよ…って、そういえばこの子の名前どうするの?

P:実は、もう考えてあるんだ。おまえは?

A:僕はまだ何も。君が決めていいよ。この子を見つけて救ってくれたんだから。

P:じゃあさ、『カマロ』って呼んでいいか?仲間とか友達って意味の言葉なんだ。オレら、新しい良い友達になれればなと思って。

A:最高じゃないか!決まりだね!

P:じゃあ、おまえは今日からカマロだぞ。同じ赤毛同士、仲良くしようぜ。

A:僕も仲間に入れてよ~!

END

(200515)