初めて料理に挑戦するフィリップのお話。
登場人物
P:フィリップ
A:アレックス
フィリップとアレックスの部屋
P:見てろよ、カマロ。オレだって料理くらいできるんだぜ。1度もやったことねーけど。アルが帰ってきたらビックリさせてやる。
さてと、なに作ろっかな~。まずは簡単そうな目玉焼きでいってみるか。作り方と材料もバッチリ調べた。フライパンと、油と、卵も用意したし。もう完璧じゃね?…ってなんかオレさっきからひとりでしゃべっててバカみてーじゃん、なんか言えよカマロ。
じゃあ、まずは作り方復習な。はじめにフライパンを温める…で、油を敷いて弱火にしたら、卵をフライパンに落とす。オレは片面焼きの半熟が好きだから、白身が白くなってきたら、ふたをして少し蒸し焼きにすればOK。楽勝じゃん!
P:(ヤベぇ……1枚目が焼けたのが嬉しくて、続けて4枚も焼いちまった…。っつっても2枚目まで裏が焦げたけど…)
A:ただいまー!
P:やべ、アル帰ってきた!
A:あれっ、この目玉焼き…君が焼いたの?
P:…あ、ああ…。悪ィ、4つも卵使っちまって…。
A:すごいじゃないか、フィリップ!よく焼けてるよ!
P:ほっ、ほんとか!?
A:うん。僕ももらっていいの?
P:もちろん。おまえに食べさせたくて焼いたんだ。だって…おまえはいつもオレに美味いもんいっぱい作ってくれるだろ?オレ、おまえになんにもしてやれないしさ。
A:フィリップ……ありがとう。君が僕のそばにいてくれれば、他には何もいらない。…あ、でも君の目玉焼きは食べたいな。ちょうどお腹も減ってるし。
P:ははっ、好きなだけ食べろよ。
A:ちょっと待ってて。
P:どうした?
A:僕がベーコンを焼くよ。
A:皿の上に、君が焼いた目玉焼き2枚を並べて、その下にベーコン2枚をV字型に置くと、ほら、笑った顔のようになるだろ?そして、半分に切ったミニトマトを真ん中に置けば、鼻の完成。
P:おまえ天才か!?
A:ただ皿に置くより、こっちのほうが楽しいと思って。
P:だな。あ、でも裏が焦げたやつはオレが食べるよ。特に1枚目のはぜってーマズいし。
A:いいよ、このくらいの焦げなんて気にしないから、僕に食べさせて。君が生まれて初めて焼いた記念すべき1枚なんだ。僕が食べたい。
P:そ、そうか?ありがとな。じゃあさ、オレが食べる皿のほうは目玉焼きの下半分にちょっとだけコショウかけるわ。
A:下半分に?
P:オレのそばかすの代わり。
A:あははっ、君こそ天才だよフィリップ!そばかすが散った目玉焼きも可愛いね。写真も撮っていい?
P:いいぞ。オレが皿持とうか?SNSに載せたいんだろ?
A:いいの!?ありがとう!
P:ほら、どうせなら3人一緒に撮ろうぜ。オレがカマロ抱いてるから、おまえが皿持て。
A:いいね。…あ、待って、トマトが動きそう…。…よし、じゃあ撮るね、笑ってフィリップ。
P:ほら、カマロも笑え!
END
(210806)