5日間ほど旅行に出かけることになったフィリップとアレックスのお話。

登場人物

フィリップ

アレックス

B:ベレニス


ベレニスの部屋

P:じゃあ、カマロをよろしく頼むな。エサを欲しそうな顔で擦りついてきても、ぜったい甘やかさなくていいから。

B:えぇ~~負けちゃいそう……けどがんばる。

A:ありがとう、ベレニス。ペットホテルに頼んでも良かったんだけど、君が申し出てくれたから、ここならセキュリティもばっちりだし安全かなってフィリップと話して…。

B:いいのよ、気にしないで。こんな可愛い子と過ごせるのはとっても嬉しいから!今はちょうど彼も撮影で遠征中だし、ふたりっきりで楽しく過ごすわ。

P:今度はどこなの?

B:グレイシャーでビッグホーンたちと追いかけっこ中。上手くいけば、帰ってくるのは半月後くらいね。

A:モンタナか…遠いね。

P:でも国内じゃん。

B:…じゃあ…、例えばフィリップは、ヨセミテからアレックスが1ヶ月も帰ってこなかったらガマンできる?同じ州内よ?

P:そっ、それは…っ!

B:ねー?ムリでしょ?

P:おい…、笑うなアル。

A:ごめん、嬉しくて。でも、それってさみしいだろ…。

B:さみしいけど…もう慣れっこ。だって、ずっとお家に閉じ込めておける人じゃないし、そんなことしたらかわいそうだもん。私がついて行っても足手まといになるだけだし。でもね、1度だけ彼とイエローストーンに行ったとき…――

P:あ、ごめん、オレらそろそろ行かないと。

A:あっ、ほんとだ…もうこんな時間か。ごめんねベレニス、帰ってきたらまたゆっくり聞かせて。

B:ええ。じゃあ気をつけて行ってらっしゃい。お姉さんと仲良くしましょうね~カマロちゃん。

A:ベレニスになついちゃって、帰りたくないなんて言い出すかもね。

P:おい…飼い主の顔を忘れるなよ、カマロ。

B:あっ、アレックス、ちょっといい?

P:何やってんだ?早くしろよー!

A:今行くー!何だい、ベレニス?

B:フィリップは、小さいころから私たち家族と離れて暮らすことが多かったから…、とてもさみしがり屋なの。

A:…分かるよ。

B:だから、思いきり甘えさせてあげて。いつもあんな感じで素直じゃない子だけど、あなたのことが大好きでたまらないみたいだから。

A:まかせて。…ありがとう、ベレニス。じゃあ、行ってくるよ。

B:こちらこそ。弟をよろしくね。良い旅を!

旅行先のホテル

P:なあ……今頃カマロどうしてるかな?

A:やっぱり君も気になってたか。僕も今、同じこと考えてたところ。

P:おまえも?

A:うん。彼はもともと人なつっこい性格だけど、ベレニスとは初対面なのに全然嫌がってなかったから、本当になついちゃってたりして…。

P:……1日早く帰る?

A:…そうしよっか。

END

(200516)

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翌朝の2人の様子:『Floating breakfast』