アレックスがフランスから帰国した直後の2人のお話。
登場人物
P:フィリップ
A:アレックス
アレックスの部屋
P:ちょっ、苦しいって!アレックス!
A:10日間も君と会えなくて、拷問みたいな日々だったんだ…フィリップ。お願いだから、もうちょっとこのままでいさせて。
P:(……オレだってさみしかったっつの…)アル……おまえに話があるんだ。
A:話?
P:…オレら…こうしてたまに外やここで会ったりしてるだろ?
A:うん、本当はもっと一緒にいたい。君と離れるたびに胸が苦しくなる。
P:……。…じゃあさ、オレと一緒に暮らそうぜ。
A:!!
P:おまえが…嫌じゃなければ。
A:嫌なもんか!答えは『YES』しかありえない!!…ああ神様…。君も同じことを考えていたなんて…。
P:おま、なに涙ぐんでんだよ、こんなことで…。
A:…もう嬉しくて、なにがなんだか分かんないや。えっと、じゃあ部屋はどうするの?君はどうしたい?
P:実はさ、これシャマルのアイデアなんだ…同棲するって話。
A:シャマルの?
P:そう。こないだスタジオで会ったとき言われたんだよ。「アルの部屋は単身用だから、新しく部屋借りれば…」って。
A:そうだったのか…。(シャマルのやつ、今度会ったらハグ攻めにしてやる)
P:オレはどこでもいいよ、おまえの好きなとこで。
A:じゃあ早速部屋探ししなきゃね。
P:おまえこそいいのか?この部屋に愛着だってあるだろ?
A:僕は、君と暮らせるならこの部屋を捨てて南極でも宇宙でもどこでも行くよ。でも本当に良いの?借りるとしたら普通のアパートになるし、ちょっと狭くないかな。君は実家の広さに慣れてるだろうから…。
P:いや、オレは狭いほうがいい。オレんちみたいに広いと、結局離れてるみてーでさみしいじゃん…。
A:フィリップ…キスしていい?
P:んん…ッ…!(いきなりかよ…!)
A:寄り道せずに帰ってきたから、ごほうびをたっぷりもらおうと思って。
P:そりゃ、そう言ったけどさ…!(息止まるかと思った…)
A:これからはいっしょに暮らすんだ。毎日キスしてほしい。僕も毎日君にキスするよ。
P:わかった……。(…別に、いきなり何かされるって期待してたわけじゃねーけど、あいつのことだし、もっとがっつくかと思ってたから…なんか拍子抜けしたっつーか…。……オレだけ慌ててバカみてー…)ところで、撮影どうだった?
A:順調だったよ。楽しかった。ただ、スタッフとモデルの子たちが…ちょっとしつこくて…。
P:……誘われた?。
A:男2人、女4人。
P:おまっ、マジでか!?そんなに!?
A:特に、ぼくのヘアメイクを担当した男がしつこくてさ…。そんなことよりフィリップ、もう遅いし、今夜は泊っていきなよ。
P:あっ?ああ…もう10時だったのか。そうさせてもらうかな。じゃあソファ借りるわ。
A:違う、君はこっち。
P:え?
A:僕のベッド。
P:なんだよ、別にソファでいいって。
A:そうじゃない。君は僕といっしょに寝るんだ。
P:!?
A:キス以上のこと…、させてくれるんだろ?
P:そっ、それは…。
A:だいじょうぶ、本当にただ一緒に寝るだけだよ。
P:…セックスするんじゃないのか?
A:以前、君に言ったことあったろ?ゆっくり進もうって。愛し合う方法はいくらでもあるんだから、君の体にも負担がかかるようなことをいきなり強いたりしないよ。僕だって男同士のことは初心者だしね。ひとつずつお互いのことを知ろう、体も心も。
P:……。
A:…それともしたかった?
P:ちがっ…、でもオレだって色々準備してて…!
A:え?
P:っ!!な、なんでもねえ!
A:…どんな準備?
P:………。
A:僕がいない間に1人で何してたの、フィリップ?
P:――…ッ!……男同士のやり方調べてたんだよ!それで……。
A:…それで?
P:どれがいいとか、よく分かんねーから……ゴムとローション色々買って…。…アダルトグッズは怖くて無理だったけどさ。……それから、男とするときの…、その、洗い方とか……練習してた……。
A:!?
P:だって、おまえがあんなふうに言うから、次はセックスすんのかなって思うだろ!?そしたら、たぶん、おまえのことだし…オレのこと、抱きたいのかな…って…。だから…っ…。
A:………。
P:クソッ…!…なんか言えよバカ…!
A:ごめん、君が可愛すぎて、ちょっと死にかけてた。
P:なんだよそれ!?オレのほうが恥ずかしくて死にそうだわ!
A:ありがとう、フィリップ。無理させてごめんね。ひとりでそんなことするの怖かったろ?
P:……怖かったけど、おまえがしたいならって思って……。
A:フィリップ!
P:ちょっ、苦しいってバカ!すぐ抱きつくクセどうにかしろ!骨が折れる!
A:本当にありがとう。じゃあ、そのゴムとローションは取っておいて。
P:あ、でもローションは買わねえと、もうあんまし無いんだ。ケガするかもって怖かったから、一気に使っちまってさ。
A:……君ってどこまで可愛いんだ。
P:いや、だってケツ切れたら怖ェーじゃん!医者に何て言うんだよ。
A:そこは素直に言うしかないんじゃない?
P:ぜってーヤダ。それこそ恥ずかしくて死ぬ。
A:そういえば、自分で触ってどうだった?
P:「指が入ってる」以外の感想が湧かねえの。痛くは無かったけど…、つか気持ちよくする余裕なんてねえし、どうすればいいのかも分かんねーもん。
A:じゃあ、次はぜんぶ僕にまかせて。君の気持ちいいところを探してあげる。
P:…!?そんなことより、寝るんだろアレックス!おまえも疲れてるだろうから、さっさと寝ようぜ。
A:じゃあ脱いで。下着はそのままでいいから。
P:ハ?
A:裸で抱き合って朝まで眠ろう。まずは、お互いの肌の感触に慣れることから始めてみるんだ。そのくらいなら、そんなに怖くないだろ?撮影で半裸になって他のモデルと密着することだってあるんだし。ほら…、おいでフィリップ。
P:…っ!
A:僕が脱がせてあげようか?
P:…そのくらい自分でやれるって!
A:(……フィリップの体…、やっぱりとても綺麗だ…)
P:(くそっ、これだけですでにすげえ恥ずかしいし逃げ出してえ……)
A:じゃあ、僕も脱ぐね。先にベッドに入ってていいよ。
P:(うっわ……、いい筋肉してんな…。仕事のために、ちゃんとジム通って食事制限もしてカラダ作ってるもんな…。こいつのそういうマジメなとこ本当に尊敬するし、すげー好きだ…)
A:どうかした?
P:いやっ、べつに、なんでもねーよ!
A:さ、寝よう。君って明日オフだったよね?
P:ああ。
A:じゃあアラーム止めちゃうね。ゆっくり寝ていられるし。
P:そうだアレックス、おまえ時差ボケあるだろ。寝るのもいいけど、明日晴れてたらいっしょに散歩行こうぜ。外で陽を浴びて動いたほうが治るの早いから。
A:…ありがとう、フィリップ。今日までの人生で1番楽しみな朝だ。良い夢見られそう。
P:…いちいち大げさなんだよ、おまえは。
A:ほら、もっとくっついて。隙間がないくらいぴたっと。
P:ちょっ、そんな寝方したらおまえの体が休まらねえだろ。
A:僕は平気。このほうが疲れが取れる。
P:ったく……。(……見た目ごついけど、けっこうやわらかいな、アルの体…。もっとバキバキなのかと思ってた。それに、シャワー浴びたせいか肌が温かくて気持ちいい…毛がちょっとくすぐってーけど。あとこいつ、いつもすげー良い匂いするんだよな…。香水もつけてるけど、それとはまた違う匂い……なんなんだろこれ……おちつく…)
A:(さっきは余裕ぶってあんなこと言ったけど、これで朝まで耐えるとか、これこそ真の拷問だ…。あのフィリップが、僕のために自分でほぐして待ってたんだぞ!?そんなチャンスを……、ああ…お前はなんて馬鹿なんだアレハンドロ…!
本当は今すぐにでも彼の中に欲望を全部ぶちまけて、僕の名前を叫びながら何度もイく顔が見たいのに!……毎晩そんな妄想で抜いてるなんて、彼には言えないな…、まだ当分は…。
それより今は、どうやって勃起せずに朝までやり過ごすかが問題だ。ようやく安心して寝てくれたのに、彼を驚かせたくないし……。時差ボケなんかよりよっぽど体にこたえるよ…)
P:なあ…、アル。
A:ん?
P:オレらの新しい部屋に置くベッド…、このくらいがいいな。こうやってくっついて寝られるの落ち着くしさ…。
A:(ああーーー!!もう~~~何なんだ君は!?かわいすぎる!!)
END
(200515)