※元々は、フィリップとアレックスが付き合った後のお話として書いていましたが、会話集『Be my love』の漫画化にあたり、2人が付き合う前のお話の一部として組み込みました。

モデルたちのガールズトークが耳に入ってしまったフィリップのお話。

登場人物

フィリップ

アレックス

ケンジー

リリー


撮影現場 ~トレーラーハウス内~

P:ふー…(なんか今日の撮影やたら疲れるな…。つーか女の子たちの香水が臭くてきつ…)

=着信音=

P:(アレックスからだ…。来週の土曜ね…。スケジュールは~…っと…。よしっ、空いてる)

L:やだもう、ちょっとケンジー!そんな笑うことないじゃん!

K:アハハッ!だってさリリー、何度目よ?そのオッサンとヨリ戻すの。

P:(ゲッ、窓のすぐ外で話してんのか?おーい丸聞こえだぞ~)

L:しょーがないじゃん。でも奥さんと別れれば慰謝料もかなり取られるだろうし、金無くなったら捨て時かなーとは思う。

K:奥さんにバレないように気をつけなよ~?帰り道に後ろから…グサッ!とやられるかも…。

L:ちょっ、やめてよ!

K:そうだ、こないだジム行ったときさ、あんたに気がありそーなマッチョ2人組いたでしょ。あいつらボディガードによくない?寝てあげれば?

L:やだぁ、臭そうだったし。

K:ギャハハ!嗅いでないんだから分かんないじゃん!

L:女の直感よ。

K:それいつも外れるやつぅ~。

P:(怖…っ…。なんだよこいつら…。ハンパなホラー映画よりよっぽどこえーよ…)

L:あんたはどうなの、ケンジー。シャマルと別れたんでしょ?

K:まあね。だってあいつ見た目はいいけど、ぶっちゃけセックス上手くないっつーか、フツーすぎて刺激がないんだよね。

L:あー…、あんたヘンタイだもんね。

K:それどーゆー意味よ。

L:そのまま?

K:それで、今キープが3人いるんだけど、それとは別に1番欲しいのはアレックスなんだ。

L:3人もいんの?つかアレックスって誰?

K:アレックス・シルバラードに決まってんじゃん。

P:(!?)

L:彼ってちょっと前に女優のなんとかってのと付き合ってなかったっけ?

K:そうそう、あの金髪のビッチね。アレックスひとり占めとかマジうらやましくない?でもさ、もう別れたっぽいし、こないだチャンスがあったから誘ってみたの。

L:どうだった?セックス上手い?

K:惨敗。

L:ハ?

K:今デートしてる相手がいて、本気で愛してるからムリなんだってさ。即答。信じらんない。

L:ギャハハハッ!百戦錬磨のケンジー様大敗北~!

P:(………アレックス…)

K:笑わないでよ、あ~~今思い出してもムカつく!

L:でも彼って女とっかえひっかえだったじゃん。どれも女のほうから迫ってたみたいだけど。それが本気になるって、相手よっぽどいい女ってことだよね。誰なんだろ、気になる。また女優かな?

K:ううん、分かんない。どんなに聞いても教えてくれなかった。も~さっさと別れればいいのに。だって彼、見た目も完璧だけど、ぜったいセックス上手いじゃん。見れば分かる。

L:さすがケンジー。でも、それは分かるわ。

K:でしょ!?もし相手の女がモデルだったら、撮影で一緒になったときヒールで足踏んでやるわ。穴開ける勢いでさ。

L:怖ッ!

K:クソッ、相手の女マジで誰だよ、ムカつく!!

P:(………オレです…女じゃないけど…。こんなこと怖すぎて死んでも言えねえ……。にしても、こいつらずっと下ネタばっかじゃん。……あいつがセックス上手いって話、マジなのかな…。もしも…もしもだけど、あいつとすることになったら分かるか……?でもオレ…童貞だし、セックスの上手い下手とかどうやって見分ければ……って…、なに考えてんだ…!)

週末 デート中

P:なあ、女の子の履いてるアレあるじゃん…、ハイヒール…。あれって怖いよな。

A:ああ…たしかに、僕だったらあれを履いて1ブロック先まで歩ける自信ないから、履きたくはないかな…。撮影で女の子たちが履いてるのを見てると、仕事とはいえ凄い努力だと思う。

P:いや、じゃなくて、単純に踏まれたら痛ェじゃん、って話。

A:ああ、そういうことか!(そういえば以前、撮影中に一度踏まれたことあったけど、何日も痕が残ったなあ…。相手の子が真っ青になって謝ってきてたっけ)でも、君になら踏まれても全然かまわないよ、フィリップ。

P:なっ、何言ってんだよヘンタイ!もういいや…なんでもない、この話は忘れてくれ。それより、そろそろ映画始まるから行こうぜ。

A:うん!

END
(200515)